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J-BOY浜松店

2019年2月

イベント情報

第25回Jボーイカップ2019冬 決勝戦観戦記

2019/02/07

   1st stage(1、2回戦)
暦の上では明日に立春を迎えるのだがまだまだ冬本番といったところか。そんな2月3日、毎年恒例となっている麻雀大会「Jボーイカップ」の決勝戦が行われた。参加者はおよそ30日間の予選を勝ち抜いた28名。1、2回戦の合計得点の上位16名が勝ち上がる準決勝戦システム。さらに上位4名が+5000点のアドバンテージを獲得できる。拮抗する闘いの中、堂々の首位に立ったのは昨年冬の王者千葉さん。僅か1500点差に袴田さん、さらに鈴木卓さん、石野さんと続きここまでがアドバンテージを獲得することとなる。一方でボーダー争いも大接戦となり鈴木崇さんが16番目の準決シートを手に入れた。

2nd stage(準決勝戦) 
準決勝の卓組は2回戦までの順位の廻り順によって決められる。各卓にひとりだけ+5000点のアドバンテージを持ったプレイヤーがいる。ここから決勝戦に駒を進められるのは、たった一人。トップのみが勝ち残りという厳しい条件のなか緊張の準決勝戦がはじまる。
A卓 絶対王者の条件。この卓でのアドバンテージ者は予選首位の千葉さん。そして岩上さん、鈴木崇さんと歴代王者3人が揃う卓となる。これを迎え撃つのは2回戦で7万点トップを叩き出した加藤さん。東場から千葉さんの独走が続きそれは南入しても継続。が、その矢先の南2局、鈴木崇さんに大三元の聴牌。しかしこれを千葉さんが平和で躱し安泰かと思われた次局の南3局、再び鈴木崇さんが襲い掛かる。リーチ七対子ドラ3の親18000。不運にもこれに放銃した岩上さんが大きく沈み熾烈なトップ争いは千葉VS鈴木崇。僅か400点差である。満貫条件でオーラスの親を迎えた加藤さんも渾身の聴牌を入れ、3者聴牌となり神のみぞ知るアガリ勝負へ...運も味方にするとはこういうことなのであろうか?スッと手を開いたのは千葉さん。昨年の冬に続き2度目の戴冠に向け大きな一歩となった。
B卓 信念の軌跡。自身初のアドバンテージ獲得により決勝卓への意欲を燃やす袴田さん。対するは鈴木勝さん、林さん、太田さん。3者ともファイナリスト経験者である。序盤、この卓は鈴木勝さんが主導権を握る。袴田さんから5200の直撃をアガり次局の林さんの仕掛けに対しては即対応。硬軟織り交ぜた麻雀は老獪さを感じさせる。しかし、安全を優先しすぎたか3本場となった南2局、林さんに大物手が入る。二三四六七七④④⑤⑥567ドラ四の聴牌。赤五を使い平和ドラ2。3本場も考慮すれば是非ともアガりが欲しい場面である。前巡上家の太田さんが④を切っていて、さすがに三色よりも3面張にするのかな?...と思った刹那、七が河に置かれる。なんという信念だろうか。結果、数巡を経て満貫を出アガリするのだがこれが決定打になったのは言うまでもないだろう。
C卓 デビルズゲート。前大会の雪辱に燃える鈴木卓さんがアドバンテージ者となったC卓。序盤からアガリを重ねリードをさらに広げる。これを追う形となった3者なのだが、白井さん、竹内さんの手牌はツモが利かず劣勢に立たされる。その中で一際漲っていたのは平井さん。予選を1位で駆け抜け、他の誰よりもJボーイに滞在し続けた男が熱い執念を燃やす。徐々に差を詰め寄りオーラスにはなんと200点差に迫っていた。過去二度の準決勝ではあと少しのところで涙を呑んできただけに強い想いもあったのではないだろうか...
鈴木卓40400点、平井40200点で迎えたそのオーラス、早々に聴牌に辿り着いたのは平井さん。タンヤオだ。続き鈴木卓さんも形式ではあるものの聴牌する。優位性では平井さんなのだが、アガる為の一牌が果てしなく遠い。結果親が聴牌できずに終局。前回のリベンジを果たした鈴木卓さんが決勝卓に進出すると同時に真っ白に燃え尽きた平井さんの姿が
そこにはあった...
D卓 勝利への道。この卓で先手を取ったのは越川さん。アドバンテージ者で高い攻撃力を持つ石野さんを抑え東3局には5万点に達する。2度の放銃を喫した梅藤さんが1万点を切り万事休す...のように思われたがここから事態は一変する。森さん石野さんがそれぞれツモアガり南入りしてからは梅藤さんの反撃が始まる。トップ目の越川さんから値千金の5800をアガリ、遂にオーラスには4人全員にチャンスがあるという展開となる。越川38000点、梅藤33500点、森31800点、石野21700点。親番の石野さんから先制リーチ、ツモればトップだ。ここに梅藤さんが追いかける14ソー。4ソーなら無条件だが、1ソー出アガリは裏1条件となる。試されるかのように河に打たれた牌は1ソーだった。梅藤さんはこれをスルーし、この局は流局となる。続く1本場、最後の最後まで縺れた勝利の糸をその手に手繰り寄せたのは森さん。3900は5400をアガリ初のファイナリストに名乗りを上げた。

Last stage(決勝戦)

 アドバンテージ獲得から決勝卓に勝ち上がったのは千葉さん、鈴木卓さんの2名。今回は森さんと鈴木卓さんの2名が初優出という事となる。まだ静寂に包まれる東1局、響く「6400」の声。千葉さんが林さんから立直一発七対子の出アガリ。千葉陣営から見ればドラも抱えていない勇気ある七対子で幸先の良いアガリであろうが林陣営から見れば一発で北単騎という悲劇の放銃と見える。

 そして次局さらに過酷な運命が訪れる。東2局、まだ卓の中で牌が積み終わらない僅か4巡目、親の鈴木卓さんから「リーチ」の声。どこか自信に溢れたその発声を聞き、
手牌を覗く。①②③④⑦⑧⑨345八八 ドラ④
 安目出アガリでも12000、高目ツモなら8000オールの超大物手。速度と破壊力を兼ね備えたその気配を感じ取ったのか、一人旅にはさせまいと林さんが追いかける。皮肉にも二人とも③⑥ピンの待ちである。数巡後、このリーチ合戦の軍配は鈴木卓さんに上がる。しかも高目の8000オールで、だ。通常、半荘一回勝負で親倍満はもはや「勝負あり」だろう。事実このまま鈴木卓さんの点棒は大きく削られることもなく南3局、2番手に付けていた千葉さんの親番まで進む。しぶとく粘る千葉さんに隙を与えず防御に徹する鈴木卓さん。この攻防は2本場まで続くのだが、ここでこれまで沈黙していた森さんが現れた。2000.4000の2本場をツモアガる。
 森さんにしてみれば背に腹は代えられない状況だった。ここでこれ以上離されてしまっては優勝への可能性が皆無となってしまうだけに。その反面この満貫に安堵の表情を浮かべたのは鈴木卓さんである。番手との差は2万点弱。オーラスの親は目下最下位で4万点以上の差がある。最も高い壁がこの先に待ち受けているとも知らずに...
そしてオーラス。それぞれに条件がかかる。が、決勝戦は決して条件を強いているわけではない。ただ各々が優勝を目指すためにそうしているだけなのだ。皆が手を組むと自ずと巡目が深くなる。そんな3段目に入った頃に千葉さんからリーチ。ツモか直撃そして裏条件のメンホンだ。その2巡後、遂にあの男が来る。林さんが高目18000のリーチで追いかける。私には場況良しのこのリーチがアガれそうに見えた。しかし無情にもアガリ牌は王牌に眠り流局。1本場を迎えた。
聴牌料と積棒、供託で千葉さんはハネツモ条件となる。現実的な状況に観戦者たちは息を呑む。ここで真っ先に聴牌に辿り着いたのは林さんメンホンの南發待ち。またも18000である。跳直でも逆転しない状況によりリーチ判断。その後、ハネ満の条件を満たした千葉さんが追いかける。再び2者リーチ、しかしまたしても流局で2本場となる。連続での聴牌料で千葉さんは満貫ツモ条件となる。ここで森さんにも現実的な条件が生まれる。倍ツモ跳直だろうか。さっきまで座って観戦していた者達が徐々に立ち上がっていく。
 立錐の余地もないほどに取り囲まれた決勝卓は益々緊迫したオーラを醸し出す。オーラス2本場供託4本。流局で親番を繋ぎ、未だこの親ではアガっていない林さんが難解な牌姿を制して聴牌に漕ぎつけ先制のリーチ、そして待望のツモ牌を引き寄せる。4000は5000オール!強靭な精神力を武器に闘う林さんがとうとう鈴木卓さんの姿をはっきりと捉えた。2000オールまたは2900の直撃で逆転可能となった3本場。林さんに好配牌がくるもののツモが伸びず一向聴で足踏み。
 さすがに前に出るしかなくなった鈴木卓さんがチーをして聴牌するが即座にこれに反応したのは林さん。ポンテンで応戦し直撃すれば優勝という2900聴牌。鈴木卓VS林のアガリ勝負かと思われたその瞬間、森さんからリーチが入る。捨牌はかなり変則的だ。事実七対子ドラ2のリーチで直撃またはツモで裏ドラが乗れば優勝というリーチだった。可能性がある限りはそこを目指すという森さんと千葉さんのスタイルがダントツだった鈴木卓さんを苦しめ、この決勝戦を素晴らしいものにしていることは間違いないだろう。

 このリーチが効いたのか鈴木卓さんはカン六聴牌をシャンポンに受け変えたのだが、この瞬間に林さんが六を押す。露骨にアガリ逃しをした鈴木卓さんは最終的にオリの選択を強いられ、決着はつかず流局で4本場となりいよいよ佳境へ。1副露して2900は8900を千葉さんからアガリ、トップとの点差は500点というところまで迫る。そして遂に終焉の時。鈴木卓さんは林さんのことを麻雀を教えてくれた兄貴分のように慕っている。その二人のどちらかが優勝を手にする
であろうこの場面でお互い目が合いニヤリと微笑んだ。まるでこの状況を楽しんでいるかのように...

 オーラス5本場。早々に聴牌に辿り着くのは鈴木卓さん。ドラの中単騎の七対子だ。一方で林さんの手牌は苦しい。3副露まで晒し未だ一向聴。ノーテンだけは避けたいところではある。持てる技術と読みの情報を駆使して最後のツモでようやく聴牌なのだが、打ち出すのはドラの中。...少考の末、苦渋の決断を下す。
               
 勝利の女神は鈴木卓さんについていた。今日が勝てない日だと言ってしまえばそうなのかもしれないが、運命に抗い必死に抵抗する姿は観戦者を惹きつけ、気が付けば応援団という形を造り上げていた。
 Jボーイはフリー雀荘である。年齢も職業も違う一人一人が同じ時間を共有し、楽しむ。いつの間にか出来たこの輪を仲間と呼ぶことさえできる。そんな麻雀の集大成「Jボーイカップ」はこれからもたくさんのドラマを生み出してくれるだろう。

   第25回Jボーイカップ優勝 鈴木 卓也さん おめでとうございます!!!


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